ジュマ・ネット 稲川望事務局長のご挨拶
新年、明けましておめでとうございます。
ジュマ・ネット事務局長の稲川望(のぞみ)です。
まず、2022年は皆さま大変お世話になりました。この場をかりてお礼申し上げます。
昨年は7月からインドにてミャンマー避難民への緊急支援活動を行い、500世帯への食糧配布を実施しました。
土地を追われ、親族や財産を失って逃れた避難民の状況は、想像以上の深刻さでした。聞き取りをしながら何度も涙を堪えたことを思い出します。一方で、非常にあたたかい人柄の方々にたくさん出会ったことも同時に思い出します。そうした経験から、なんとかこの支援を続けられないかと模索してきました。
その結果、多くの方々にご支援をいただき、本年も再び支援活動を行う見込みが立ちました。改めてご支援ご協力、本当にありがとうございます。ミゾラム州の支援に関しては、活動が完了した段階でレポートを公開いたします。
また、チッタゴン丘陵地帯の活動でも新たな試みを行いました。一つは、被害家族支援のスタートを切ったことです。内部分裂が深刻化する現状は、軍やベンガル人社会との共存以前の段階となっています。そのためまずは内部抗争に対する活動ができないかと考え、被害者支援からスタートすることにしました。数は決して多くはありませんが、着実に変化につなげられるよう本格化させてまいります。
さて、2023年は大きな変化を迎える年となることを想像しております。それは、平和へのアプローチに新たに「経済再建・自立を目的とした就職支援活動」を加えることに顕著です。政治グループの内部抗争が深刻化する中で、徐々にジュマ社会全体の弱体化が進んでいます。しかし一方で、以前のように利害が相反する政治グループとかけ合うことは難しいのも事実です。
そこでジュマ、とりわけこれまで支援を続けてきた支援児童や被害家族などを中心に、就職まで支援することを目指します。
構想としましては、企業との橋渡しを行い就職を実現します。その結果、ジュマの人々の個人レベルでの経済的自立を実現します。
ミクロな取り組みではありますが、被害者の経済自立、また社会的選択肢の提供による青年の過激化予防、さらにセクターを超えた協働が実現する新たなアプローチです。加えて、バングラデシュ政府や軍との関係に変化をもたらし、より長期的に平和構築活動が実施できる環境づくりにも影響を及ぼすと考えます。
現在、事業の実施に先立ちプロジェクト計画をおこなっています。春を迎える頃には正式な動きだしとともにお知らせができるかと存じます。これまでと異なるアプローチではありますが、皆さまにご理解いただけるよう事業の将来性と我々の理念の実現へのプロセスをお伝えしながら、誠心誠意取り組んでまいります。
その一方で、平和へのアドボカシーは今後も継続しなければなりません。今まさに、事態が深刻化していることは事実です。そのため、現地政府や軍とのバランスを鑑みながらも、現実的な手段でアドボカシー活動をより行っていまいります。
特に内部抗争の深刻化、また軍の駐屯や散発的に行われる土地収奪や市民からの金銭徴収などは現在も行われてます。こうした事実に対し、的確な情報把握や情報発信をおこなっていく姿勢を保つことは、本年の大きな課題の一つです。
今年の4月をもって、私が事務局長として活動を始めてから丸2年が経つことになります。徐々に活動方針にも変化が見られ、これまで応援いただいている方々にとっては、稚拙な歩みと見えていることと想像します。これは私の実力不足であり受け入れなければなりませんが、ジュマ社会への前向きな変化、平和へのアドボカシーなど、ジュマ・ネットが過去に積み上げてきた取り組みを活かしながら、一歩ずつ進んでまいります。
今後ともジュマ・ネットを応援いただけましたら幸いです。
2023年もどうぞよろしくお願いいたします。