【速報】チッタゴン丘陵における暴動事件
今月19日以降、チッタゴン丘陵カグラチャリ県およびランガマティ県において、少数民族ジュマに対する攻撃が発生しています。その結果、商店や寺院の破壊や放火、死傷者が発生する事態へと発展しています。
今回はまず端的に事件の背景と影響、また現在の状況に関してお伝えします。
一連の事件の背景
9月18日にベンガル人1名が死亡した事件から今回の暴動が始まりました。その人物は当時、カグラチャリ県でバイクを盗もうとしているところを群衆に捕まり、暴行により亡くなりました。その後、19日の午後には抗議運動から両民族間の衝突が起き、102軒の店舗が破壊されました。(78軒がジュマ、24軒がベンガル人のものとされています。)
この事件が起爆剤となり、その影響はカグラチャリ県全体へと飛び火しました。また同県で銃撃事件が発生し、3人のジュマの若者が死亡する事態となりました。
20日金曜日には、隣県のランガマティにもその影響が及びました。ジュマの若者たちの抗議運動からベンガル人コミュニティとの衝突に発展し、ジュマの若者が亡くなる事態になってしまいました。さらに、建物の焼き討ちが同県でも行われました。
その結果、同地域には144条(無届のデモや集会の禁止)が発令され、軍をはじめとした治安部隊が配備されることとなりました。翌21日には内務省高官がランガマティ県を訪問するとともに、ムハマド・ユヌス氏はすべての法執行機関に対し、最大限の自制を働かせ、チッタゴン丘陵に住む人々の安全を確保するよう指示が出されたと述べました。また一連の暴力について適切に調査が行われ、法の裁きを受けることを保証しました。
また、首都ダッカでは一連の暴力に対する抗議デモが行われました。これらの動きは海外にも波及しており、アメリカ・ボストン州でもデモが行われていると言われています。
その後
一方で、最初のきっかけとなった事件に関しても徐々に内容が明らかになってきています。バイクの窃盗容疑から群衆に殺害された事件の訴訟では、3人のベンガル人が被告として名前が挙げらました。理由は、それ以前からの敵対関係が存在していたと言われています。(現地記事)
ただ依然として現地の状況は不安定であり、突発的な衝突が起きてもおかしくはありません。最初の事件の結果がどうであれ、民族間の対立として転化して暴力にまで発展してしまったことは事実です。
現地関係者との連携を引き続き行い、今後も情報をアップデートして参ります。
参考文献
New Age, “Crisis deepens as meaningful negotiation eludes CHT”, 2024/09/23
Prothom Alo,”CHT violence: All parties need patience to restore peace”, 2024/09/22.